ビレイの科学 その2

昨日の日記ではビレイヤーができることは意外と少ないと書きましたが
それをひとつひとつ丁寧に見て行きましょう。

1.声をかける 

足にロープが絡んでいたり逆クリップしているときは
声をかけるのがビレイヤーの責務です。

逆に落ちそうなときに「落ちるな〜」と声をかけても無駄なので
そういう時は応援しつつ落ちた時にどういうビレイをするか考えましょう。


2.出だし付近ならビレイ位置を変更する・スポットする

これは一本目前後でクライマーがプルプルしてる時に有効です。
自分が怪我をしない位置でクライマーが落ちた時にしっかり止められるように
ポジションを確保しましょう。


ここまでがクライマーが落ちる前にするべきことで
ここから下はクラマーが落ちた時にどう対処するかの部分です。


c0173794_15594676.jpg

上の図は昨日書いた「最短で止める」「流す」「落とす」と言う3つの技術をグラフ化したものです。


グラフの見方は線の高さがスピードを、横方向が経過時間を表しています。
線の角度は加速度を示して急角度なほど急加速している状態です。

制動中の加速がグラフのような直線になるのかは分かりませんが
概念としてそれほど問題にならない部分なので細かいことはスルーしましょうw


クライマーが星の地点でフォールした場合、素早く確保体制に入ったとしても
ランナウト分やロープのたるみなどである程度フリーフォールします。
フリーフォールしている間は経過時間の自乗に比例してスピードが上がり、
ロープのたるみが無くなった時点からやっと制動が始まります。

ではそこからの制動の仕方を詳しく見てみましょう。


3.最短で止める

これはビレイの基本の「き」ですね。

なるべく素早くビレイを開始して速やかにスピードを落とします。
プロテクションに掛かる負荷は大きめですが
ボディビレイの場合どんなにピタッと止めようとしても
体が持って行かれて衝撃吸収されるので
ボルトルートや一般的なNPでは問題になることはありません。

逆に微妙なNPやアイスなどプロテクションがプアな時は下記の
流すテクニックを使用します。


4.流す

微妙なNPやアイスなどプロテクションがプアな時に使用します。
普通のボルトルートで使うことはあまりありません。

やり方はビレイの衝撃に逆らわず体を移動したり、ロープを握る手をゆるめたり(ATC)
左手を強く握る(グリグリ)など色々な方法はあるのですが大事なのは
「制動が始まってからクライマーが止まるまでの時間を長くする」ことです。

制動が始まるタイミングは「最短で止めるビレイ」と同じで、
そこからの制動をゆるめにして制動時間を長くすることで加速度を緩くするのが目的です。

これによってプロテクションに掛かる負荷が減るので
単純にフリーフォールを長くする「落とすビレイ」とは明確に区別しなくてはいけません。


5.落とす

流すに対して落とすとはフリーフォールの距離を長くすることを言います。
フォールした部分に岩の出っ張りがある場合や前傾壁などで
ピタッと止めると振られて岩に当たる可能性のある場合に使います。

またナッツなど振られ落ちすると外れる可能性があるプロテクションでは
クライマーを落とすことでナッツが効く方向に力がかかるようにすることもあります。

とくに前傾壁でよく使うテクニックですが
落とすとクライマーの落下スピードが加速度的に上がって危険が増すので
必要最小限に抑えることが重要です。

またクライマーの落下速度が増えてから制動をかけるので
結果として制動時間が伸びますが
上記の流すのとは違い加速度としてはピタット止めているのとあまり変わりません。

スピードが出ている分プロテクションに掛かる負荷は一番大きく
NPなどで落とした場合は流しながら止めることも検討しなければいけません。
その場合落下距離はかなり伸びます・・・

クライミングではグランドフォールやテラスへの激突などが
一番ダメージが大きくなる可能性が高いので
ルートの出だしやテラス付近などで落とすのは禁忌です。

c0173794_11442935.jpg

ビレイはまず声をかけたり良いビレイポジションをキープして
もしクライマーがフォールしても安全が保たれるように下準備をした上で
フォールしたらば最短で止めることが大事です。

最短で止める場合よりも流したり落としたりしたほうが
怪我などをする可能性が少ない時のみそれらの技術を使いましょう。
その場合、何故その技術を使うのか理解した上で流したり落としたりするのが良いと思います。


おわり



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by kunkung | 2015-05-21 19:39 | クライミング | Trackback | Comments(0)